紅茶をどうぞ
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[お題] 腕枕・・・。癖になりそう。
ソファに並んで腰掛けて、本を読んだりテレビを見たり。紅茶を飲んだり刺繍をしたり。のどかな午後の日差しに照らされた室内で、そうやって穏やかに過ごしていた。
そのうち時差のせいかうつらうつらしはじめるアメリカが、イギリスの肩にもたれかかってきた。しょうがないな、と笑って膝枕を許可すると、彼は小さな欠伸と共に眼鏡を外してテーブルに置く。そして両目を閉ざすと遠慮なくイギリスの膝に頭を乗せる。
オレンジ色の髪に指を入れて梳いてやれば、気持ち良さそうに口元を緩めてそのまま寝入ってしまった。
寝つきいいのは子供の頃から変わらない。寝苦しくないように頭の位置を調節してやりながら、イギリスは手近に用意していたタオルケットをアメリカの身体にそっとかけた。
そして煩くないようにテレビを消して、危なくないよう刺繍を手放す。単行本を手に取って読みかけのページを開いて目を通せば、ゆるやかな寝息が聞こえて、思わず笑みがこぼれた。
妖精がふわりと飛んでくる。
先日フランスからもらった小さな砂糖菓子を渡してやると、嬉しそうにイギリスの周りを飛び回った。そのたびに金色の光が周囲に散る。
ありがとう、と囁かれて小さく頷いた。
「良かったら、こいつを祝福してやってくれないか?」
すっかり寝入っているアメリカの頬に指先を滑らせると、妖精たちが楽しそうに笑い声を上げた。
そして小さな羽根をはばたかせて小さな手を振り、優しい声で歌を歌う。
妖精の姿を見ることの出来ないアメリカは、子供の頃からイギリスの視線の先を寂しそうに見つめていた。最初の頃は頑張って探しては落ち込んでいたけれど、そのうち関心を示さなくなり、今ではイギリスの妄想だと思い込んでいる。
イギリスも幼い彼が自分と同じ世界を見られないことに、はじめはがっかりもしたし切なくも思った。けれど見たくても見られないアメリカにいくら説明しても仕方がないと諦めるようになった。
それでも彼が妖精たちの祝福を受けられないのは可哀相だったので、時折こうしてお菓子と引き換えにお願いをしてみる。
「健やかで幸せな時間を」
いつまでも、いつまでも。
白く秀でた額にかかる前髪をそっと撫で、閉ざされた瞼を親指で柔らかくなぞる。アメリカの寝顔は昔からイギリスの好きなもののひとつだった。
彼からは明るい太陽と干草の匂いがいつもしていた。昔も今も、時間がどんなに経っても変わらない。懐かしくて、暖かくて大好きなもの。
「……それに、甘えてくれるのは嬉しいしなぁ」
普段は憎まれ口を叩くアメリカも、こうやって寝ている時は静かで、なによりイギリスに全てを預けてくれているようで素直に嬉しい。
以前、膝枕をしてもらうと気持ちがよくて好きだと言っていたが、イギリスにしてみれば自分の方こそ贅沢な時間を過ごしている気分だった。
「じゃあ、俺も君のこと、甘やかしてあげるよ!」
「へ?」
急にアメリカの両目がぱちりと開いてまっすぐに見上げてきた。
空色の瞳に見惚れていると、腕を伸ばした彼に抱きつかれる。そのままぐるりと視界が反転した。
「う、わっ!」
「次は君の番だよ」
そう言ってアメリカが無遠慮にイギリスの身体を抱き締める。狭いソファの上で男二人、落ちないように密着する姿は、端から見たらかなり痛い光景だろう。そう思いながらもつられてしがみついてしまった。
「お前……なんだよいきなり」
ぎゅうっと抱き締められて身動き取れずにいると、そのうちまたアメリカの目が眠気を帯びてとろんとしはじめる。ぬくもりのまま眠気に誘われていく顔を間近で見ていると、苦笑がこみ上げてきた。
大分前に越された身長、それにあわせてすっかり大きくなったアメリカに今では抱き込まれてしまうのが少し悔しい。それでも彼の腕に頭を預けて、胸に手のひらを当てると鼓動がゆるやかに伝わってくる。なんとも幸せだった。
「おやすみ」
再び寝入ってしまったアメリカの顔を見つめながらそう囁くと、締まりのない顔に笑顔が浮かんだ。
こんなことをしてソファから転げ落ちでもしたら、きっとしばらくは妖精たちに笑われるんだろうなぁ、と思う。それでもイギリスもまた同じように目を閉じた。
たくさんの妖精の歌が聞こえる。
きっと明日もいいことがあるに違いない。
そのうち時差のせいかうつらうつらしはじめるアメリカが、イギリスの肩にもたれかかってきた。しょうがないな、と笑って膝枕を許可すると、彼は小さな欠伸と共に眼鏡を外してテーブルに置く。そして両目を閉ざすと遠慮なくイギリスの膝に頭を乗せる。
オレンジ色の髪に指を入れて梳いてやれば、気持ち良さそうに口元を緩めてそのまま寝入ってしまった。
寝つきいいのは子供の頃から変わらない。寝苦しくないように頭の位置を調節してやりながら、イギリスは手近に用意していたタオルケットをアメリカの身体にそっとかけた。
そして煩くないようにテレビを消して、危なくないよう刺繍を手放す。単行本を手に取って読みかけのページを開いて目を通せば、ゆるやかな寝息が聞こえて、思わず笑みがこぼれた。
妖精がふわりと飛んでくる。
先日フランスからもらった小さな砂糖菓子を渡してやると、嬉しそうにイギリスの周りを飛び回った。そのたびに金色の光が周囲に散る。
ありがとう、と囁かれて小さく頷いた。
「良かったら、こいつを祝福してやってくれないか?」
すっかり寝入っているアメリカの頬に指先を滑らせると、妖精たちが楽しそうに笑い声を上げた。
そして小さな羽根をはばたかせて小さな手を振り、優しい声で歌を歌う。
妖精の姿を見ることの出来ないアメリカは、子供の頃からイギリスの視線の先を寂しそうに見つめていた。最初の頃は頑張って探しては落ち込んでいたけれど、そのうち関心を示さなくなり、今ではイギリスの妄想だと思い込んでいる。
イギリスも幼い彼が自分と同じ世界を見られないことに、はじめはがっかりもしたし切なくも思った。けれど見たくても見られないアメリカにいくら説明しても仕方がないと諦めるようになった。
それでも彼が妖精たちの祝福を受けられないのは可哀相だったので、時折こうしてお菓子と引き換えにお願いをしてみる。
「健やかで幸せな時間を」
いつまでも、いつまでも。
白く秀でた額にかかる前髪をそっと撫で、閉ざされた瞼を親指で柔らかくなぞる。アメリカの寝顔は昔からイギリスの好きなもののひとつだった。
彼からは明るい太陽と干草の匂いがいつもしていた。昔も今も、時間がどんなに経っても変わらない。懐かしくて、暖かくて大好きなもの。
「……それに、甘えてくれるのは嬉しいしなぁ」
普段は憎まれ口を叩くアメリカも、こうやって寝ている時は静かで、なによりイギリスに全てを預けてくれているようで素直に嬉しい。
以前、膝枕をしてもらうと気持ちがよくて好きだと言っていたが、イギリスにしてみれば自分の方こそ贅沢な時間を過ごしている気分だった。
「じゃあ、俺も君のこと、甘やかしてあげるよ!」
「へ?」
急にアメリカの両目がぱちりと開いてまっすぐに見上げてきた。
空色の瞳に見惚れていると、腕を伸ばした彼に抱きつかれる。そのままぐるりと視界が反転した。
「う、わっ!」
「次は君の番だよ」
そう言ってアメリカが無遠慮にイギリスの身体を抱き締める。狭いソファの上で男二人、落ちないように密着する姿は、端から見たらかなり痛い光景だろう。そう思いながらもつられてしがみついてしまった。
「お前……なんだよいきなり」
ぎゅうっと抱き締められて身動き取れずにいると、そのうちまたアメリカの目が眠気を帯びてとろんとしはじめる。ぬくもりのまま眠気に誘われていく顔を間近で見ていると、苦笑がこみ上げてきた。
大分前に越された身長、それにあわせてすっかり大きくなったアメリカに今では抱き込まれてしまうのが少し悔しい。それでも彼の腕に頭を預けて、胸に手のひらを当てると鼓動がゆるやかに伝わってくる。なんとも幸せだった。
「おやすみ」
再び寝入ってしまったアメリカの顔を見つめながらそう囁くと、締まりのない顔に笑顔が浮かんだ。
こんなことをしてソファから転げ落ちでもしたら、きっとしばらくは妖精たちに笑われるんだろうなぁ、と思う。それでもイギリスもまた同じように目を閉じた。
たくさんの妖精の歌が聞こえる。
きっと明日もいいことがあるに違いない。
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