紅茶をどうぞ
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願い、そして希望 2
それはあらかじめ定められていた運命だったのだろうか。
それとも裏切り、裏切られた結果だったのだろうか。
今になってはもう分からない。
何も知りようがなかった。
ただ、アメリカが銃を手にしてまでも自分から独立したという、ただその事実だけが自分の中に残った。
それだけだ。
何も持たない自分が、ようやく手に入れた光だった。
幼い頃から争いの絶えない毎日を過ごしてきた。小さな島国は兄達ばかりでなく周辺諸国との戦火にまかれ、つねに血が流され続けていた。
力だけが全てで、力ある者だけが生き延びる。
息苦しいその中から、何かを求めて果てない海へと飛び出したのは必然だったのかもしれない。イギリスは新しい大陸を目指して荒波を越えていった。
広大で、未開拓な荒れ果てた大地で出会ったのは幼い国。
真っ白で穢れていなくて、太陽の色の髪と澄んだ空の色の瞳を持っていた。
屈託なく笑って掛け値のない信頼を寄せてくれたその子供を、イギリスははじめて愛しいと思った。
愛情なんて知らない、自分には欠片も与えられなかったそれが、自然と胸中を満たしていくのを生まれてはじめて感じ取った時、祈ったものだ。
あぁ、神様。
どうかこの子が、自分のように寂しさに震えることがないように。
夜の闇に怯え、雨露に凍えることがないように。
辛い戦いの毎日に傷つかないように。
日々の糧に巡り会えず飢えて苦しむことのないように。
明るく真っ直ぐなその眼差しが翳ることのないように。
どうか、どうか、幸せに育って欲しいと。
その想いが歪んでしまったのはいつのことだったのだろう。
ずっとずっと、守っていたかった。
身勝手で横暴だと言われようとも、自分無しではいられないアメリカでいて欲しかった。
叶えられるはずがない事などとっくの昔に気付いていたのに。
彼は誰よりも輝いていて、強く、大きく、どこまでもどこまでも自由な存在。
そんなこと、はじめからちゃんと分かっていたんだ。
あの広大な大陸で小さく震えて泣いていた子供は、夢と希望を詰め込んだまま、いつしか自分の手を離れて遠くへ行ってしまうことを。
そしてそれを、ひどく寂しく想いながらも静かに祝福の言葉と共に祈っていたというのに。
どうして忘れてしまっていたのだろう。
どうか神様、彼に祝福を。比類なき幸いを。
彼の夢や願いが叶いますようにと真摯に強く、あんなにも願い続けていたというのに。
どうして忘れてしまっていたのだろうか。
自分勝手に縛りつけて自由を奪いたかったわけじゃない。
傷つけて、血を流させたかったわけじゃないんだ。
飛び立ちたいと望むのなら、ちゃんと笑って見送ってやりたかった。
それなのに急に突きつけられた現実に戸惑い、恐れ、そして激昂した。愛していた子供の声も聴こえないほど、自分は錯乱していたのかもしれない。
そして自分ばかりが哀しい思いをしていると勘違いをし、心優しかったあの子の心の傷を見てみないふりをしていた。
育ての親であり兄である自分に銃を向けなければならないほど、彼が追い詰められていたことにも気付かず。ましてやあんなふうに憎ませてしまうなど……他でもないイギリス自身のエゴのせいで、結局はお互い後戻りが出来ないところまで来てしまったのだ。
どうしてちゃんと彼の言葉に耳を傾けなかったのだろう。他にも道はいくつも用意さえていたはずだ。ようやく手に入れた光を手離したくないばかりに、一番大切なことを忘れてしまっていた。
共に過ごした穏やかで楽しかった日々。数えきれないほど沢山の想いを教えてもらった。
優しさも、思いやりも、ぬくもりも、そして愛情も、みんなみんなあの子に教えてもらったはずなのに。
もう、取り戻せないのだろうか。
償うことは出来ないのだろうか。
互いの間に横たわる距離は、広い海原でも高い大空でもなく、深い深い心の溝だという事に、二人とも気付かないまま。
どこへ行くというのだろう。
それとも裏切り、裏切られた結果だったのだろうか。
今になってはもう分からない。
何も知りようがなかった。
ただ、アメリカが銃を手にしてまでも自分から独立したという、ただその事実だけが自分の中に残った。
それだけだ。
何も持たない自分が、ようやく手に入れた光だった。
幼い頃から争いの絶えない毎日を過ごしてきた。小さな島国は兄達ばかりでなく周辺諸国との戦火にまかれ、つねに血が流され続けていた。
力だけが全てで、力ある者だけが生き延びる。
息苦しいその中から、何かを求めて果てない海へと飛び出したのは必然だったのかもしれない。イギリスは新しい大陸を目指して荒波を越えていった。
広大で、未開拓な荒れ果てた大地で出会ったのは幼い国。
真っ白で穢れていなくて、太陽の色の髪と澄んだ空の色の瞳を持っていた。
屈託なく笑って掛け値のない信頼を寄せてくれたその子供を、イギリスははじめて愛しいと思った。
愛情なんて知らない、自分には欠片も与えられなかったそれが、自然と胸中を満たしていくのを生まれてはじめて感じ取った時、祈ったものだ。
あぁ、神様。
どうかこの子が、自分のように寂しさに震えることがないように。
夜の闇に怯え、雨露に凍えることがないように。
辛い戦いの毎日に傷つかないように。
日々の糧に巡り会えず飢えて苦しむことのないように。
明るく真っ直ぐなその眼差しが翳ることのないように。
どうか、どうか、幸せに育って欲しいと。
その想いが歪んでしまったのはいつのことだったのだろう。
ずっとずっと、守っていたかった。
身勝手で横暴だと言われようとも、自分無しではいられないアメリカでいて欲しかった。
叶えられるはずがない事などとっくの昔に気付いていたのに。
彼は誰よりも輝いていて、強く、大きく、どこまでもどこまでも自由な存在。
そんなこと、はじめからちゃんと分かっていたんだ。
あの広大な大陸で小さく震えて泣いていた子供は、夢と希望を詰め込んだまま、いつしか自分の手を離れて遠くへ行ってしまうことを。
そしてそれを、ひどく寂しく想いながらも静かに祝福の言葉と共に祈っていたというのに。
どうして忘れてしまっていたのだろう。
どうか神様、彼に祝福を。比類なき幸いを。
彼の夢や願いが叶いますようにと真摯に強く、あんなにも願い続けていたというのに。
どうして忘れてしまっていたのだろうか。
自分勝手に縛りつけて自由を奪いたかったわけじゃない。
傷つけて、血を流させたかったわけじゃないんだ。
飛び立ちたいと望むのなら、ちゃんと笑って見送ってやりたかった。
それなのに急に突きつけられた現実に戸惑い、恐れ、そして激昂した。愛していた子供の声も聴こえないほど、自分は錯乱していたのかもしれない。
そして自分ばかりが哀しい思いをしていると勘違いをし、心優しかったあの子の心の傷を見てみないふりをしていた。
育ての親であり兄である自分に銃を向けなければならないほど、彼が追い詰められていたことにも気付かず。ましてやあんなふうに憎ませてしまうなど……他でもないイギリス自身のエゴのせいで、結局はお互い後戻りが出来ないところまで来てしまったのだ。
どうしてちゃんと彼の言葉に耳を傾けなかったのだろう。他にも道はいくつも用意さえていたはずだ。ようやく手に入れた光を手離したくないばかりに、一番大切なことを忘れてしまっていた。
共に過ごした穏やかで楽しかった日々。数えきれないほど沢山の想いを教えてもらった。
優しさも、思いやりも、ぬくもりも、そして愛情も、みんなみんなあの子に教えてもらったはずなのに。
もう、取り戻せないのだろうか。
償うことは出来ないのだろうか。
互いの間に横たわる距離は、広い海原でも高い大空でもなく、深い深い心の溝だという事に、二人とも気付かないまま。
どこへ行くというのだろう。
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