紅茶をどうぞ
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ストイシズム [ プロローグ ]
唐突だけど僕とイギリス君は今、「お付き合い」というのをしている。
いわゆる一般的に「恋人」という間柄なんだけど、僕にはいまいちその定義と言うかありようが分からなくて、いつも彼には怒られてしまうんだ。あれは駄目とかこれは駄目とか、アメリカ君じゃないけど「君は本当に否定が好きなんだね」と言いたくなる状況でなんだか面白くないし、哀しいような気分がして時々溜息をついてしまんだよね。
まぁそれでも彼が淹れてくれる紅茶は美味しいし、膝枕をしてもらえるのは気持ちいいし、妖精たちとの会話も楽しいので別にいいんだけど。
もう何年くらい前になるのかな。僕たちがこんな関係をはじめたのは。
僕とイギリス君は最初とっても仲が悪くてね、会えば嫌みの応酬どころか一触即発って感じの雰囲気ばかりだった。彼は僕のことが大嫌いだったし、僕も南下政策を邪魔ばかりされていたから正直殴りたくてたまらなかった。
犬猿の仲、って言葉を日本君に教えてもらったことがあるけどまさにそんな感じの相手。僕もイギリス君もお互いのことを好きになる要素なんてほんの少しだってなくて、いっつも本気で滅んじゃえばいいのにって思っていたくらいだ。
それが、そう、あれは十年位前のことだったよね。ちょっとした事件が起きたのは。
事件といってしまっていいのかは未だに分からないけれど、確かにあれは一種のアクシデントだった。必然ではなくて偶然。神様の気まぐれって言うか、まぁ予期せぬ出来事だったのは間違いない。
あの日イギリス君が会議室に連れて来た小さな小さな可愛らしい春の妖精は、本当に可憐で色鮮やかだったから僕はついつい声を掛けてしまったんだ。いつもなら眺めているだけで楽しかったのに、ほんのちょっとだけイギリス君がいない隙に話し掛けてみたくなってね。
こんにちは。
え、あら? こんにちは、あなたは私が見えるのね。
うん。すごく綺麗だから近くで見たくなって。いい?
もちろんよ。褒めてくれてありがとう。春は私たちを一番美しく彩るの。
春、僕も大好き。
まぁ、それはとっても素敵なことよ。春はみんなが幸せになる季節だもの。
そうなんだ。ふふ、いいね。
せっかくだからあなたにも祝福をあげるわ。
本当に?
もちろんよ。とびっきり甘くて柔らかで明るい魔法を!
そうして妖精が楽しそうに七色の小さなステッキを振りながら言ったんだ。
あなたに恋の魔法をあげるわ、ってね。
ぱっと周囲がフラッシュをたいた時みたいに明るくなって、思わず眩しくて目を伏せて……そして光がおさまってから顔をあげたら、すぐそこに、僕の目の前には妖精を迎えに来たイギリス君がいたってわけ。
これでどうなったかわかるでしょ?
そうだよ、僕はその瞬間、イギリス君相手に恋に落ちてしまったんだ。
でもね、幸いなことに?別に世界はバラ色になったりはしなかったよ。
僕はイギリス君を見ても盲目的にはならなかったし、過去を忘れたわけでもなかった。相変わらず彼のことは殴りたくなるくらい嫌いだし、当然イギリス君から好意を向けられることもないから、僕たちの関係は普段通り変わることなんてほとんどなかった。
それでもやっぱり以前よりは彼のことが気になったりしたし、何よりアメリカ君を見てモヤモヤする回数が増えたってことはたぶん、イギリス君が泣かされているのが気に入らないとかそんな理由だったんだよね。
そのうちモヤモヤがイライラに変わっていって、そんな自分に自分でびっくりして、なんだかこれは嫌だなぁと思っているうちにイギリス君に呼び出されて言われたんだ。
お前、アメリカに何か含むところがあるのか? 手を出す気じゃないだろうな?
とまぁ、こんな感じ。
ようするにさ、イギリス君は僕がしょっちゅうアメリカ君を睨んでいるのが気になって仕方がなかったってことなんだよね。敵対している僕らの関係を考えれば警戒しても不思議じゃないんだろうけど、結局それだけ彼はアメリカ君のことばかり見ているわけなんだ。
もちろん僕としては面白くなかったよ。だってほら、僕はイギリス君に「恋」してるわけだからね。
だから言ったんだ。
「僕、イギリス君のことが好きなんだ」ってさ。
いわゆる一般的に「恋人」という間柄なんだけど、僕にはいまいちその定義と言うかありようが分からなくて、いつも彼には怒られてしまうんだ。あれは駄目とかこれは駄目とか、アメリカ君じゃないけど「君は本当に否定が好きなんだね」と言いたくなる状況でなんだか面白くないし、哀しいような気分がして時々溜息をついてしまんだよね。
まぁそれでも彼が淹れてくれる紅茶は美味しいし、膝枕をしてもらえるのは気持ちいいし、妖精たちとの会話も楽しいので別にいいんだけど。
もう何年くらい前になるのかな。僕たちがこんな関係をはじめたのは。
僕とイギリス君は最初とっても仲が悪くてね、会えば嫌みの応酬どころか一触即発って感じの雰囲気ばかりだった。彼は僕のことが大嫌いだったし、僕も南下政策を邪魔ばかりされていたから正直殴りたくてたまらなかった。
犬猿の仲、って言葉を日本君に教えてもらったことがあるけどまさにそんな感じの相手。僕もイギリス君もお互いのことを好きになる要素なんてほんの少しだってなくて、いっつも本気で滅んじゃえばいいのにって思っていたくらいだ。
それが、そう、あれは十年位前のことだったよね。ちょっとした事件が起きたのは。
事件といってしまっていいのかは未だに分からないけれど、確かにあれは一種のアクシデントだった。必然ではなくて偶然。神様の気まぐれって言うか、まぁ予期せぬ出来事だったのは間違いない。
あの日イギリス君が会議室に連れて来た小さな小さな可愛らしい春の妖精は、本当に可憐で色鮮やかだったから僕はついつい声を掛けてしまったんだ。いつもなら眺めているだけで楽しかったのに、ほんのちょっとだけイギリス君がいない隙に話し掛けてみたくなってね。
こんにちは。
え、あら? こんにちは、あなたは私が見えるのね。
うん。すごく綺麗だから近くで見たくなって。いい?
もちろんよ。褒めてくれてありがとう。春は私たちを一番美しく彩るの。
春、僕も大好き。
まぁ、それはとっても素敵なことよ。春はみんなが幸せになる季節だもの。
そうなんだ。ふふ、いいね。
せっかくだからあなたにも祝福をあげるわ。
本当に?
もちろんよ。とびっきり甘くて柔らかで明るい魔法を!
そうして妖精が楽しそうに七色の小さなステッキを振りながら言ったんだ。
あなたに恋の魔法をあげるわ、ってね。
ぱっと周囲がフラッシュをたいた時みたいに明るくなって、思わず眩しくて目を伏せて……そして光がおさまってから顔をあげたら、すぐそこに、僕の目の前には妖精を迎えに来たイギリス君がいたってわけ。
これでどうなったかわかるでしょ?
そうだよ、僕はその瞬間、イギリス君相手に恋に落ちてしまったんだ。
でもね、幸いなことに?別に世界はバラ色になったりはしなかったよ。
僕はイギリス君を見ても盲目的にはならなかったし、過去を忘れたわけでもなかった。相変わらず彼のことは殴りたくなるくらい嫌いだし、当然イギリス君から好意を向けられることもないから、僕たちの関係は普段通り変わることなんてほとんどなかった。
それでもやっぱり以前よりは彼のことが気になったりしたし、何よりアメリカ君を見てモヤモヤする回数が増えたってことはたぶん、イギリス君が泣かされているのが気に入らないとかそんな理由だったんだよね。
そのうちモヤモヤがイライラに変わっていって、そんな自分に自分でびっくりして、なんだかこれは嫌だなぁと思っているうちにイギリス君に呼び出されて言われたんだ。
お前、アメリカに何か含むところがあるのか? 手を出す気じゃないだろうな?
とまぁ、こんな感じ。
ようするにさ、イギリス君は僕がしょっちゅうアメリカ君を睨んでいるのが気になって仕方がなかったってことなんだよね。敵対している僕らの関係を考えれば警戒しても不思議じゃないんだろうけど、結局それだけ彼はアメリカ君のことばかり見ているわけなんだ。
もちろん僕としては面白くなかったよ。だってほら、僕はイギリス君に「恋」してるわけだからね。
だから言ったんだ。
「僕、イギリス君のことが好きなんだ」ってさ。
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