紅茶をどうぞ
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2. くるくる変わる君の表情、そのすべてが愛しくて (米)
イギリスは本当によく怒る。
ちょっとしたことですぐ眉間に皺を寄せてなんだかんだと口煩く言ってくるんだ。
そしてこちらが何か言い返すとすぐに涙目になって、馬鹿を連発して、顔を真っ赤にして部屋を出て行ってしまう。
こっちははるばる大西洋を越えて会いに来てあげていると言うのに、実に不本意極まりない態度を取られるのだ。納得がいかない。
後を追い掛けてなだめすかして機嫌を取って、なんてそんなこと、面倒臭くて誰がするものか。
女相手のご機嫌伺いでもあるまいし冗談じゃない。
そう思って彼のいなくなった居間のソファに腰をおろせば、静まり返った室内には柔らかな甘い香りが漂っている。
イギリスお手製のスコーンやクッキーが、清潔なキッチンのテーブルの上から、早く食べてくれとばかりに自己主張をしているのだ。
ところどころ焦げたそれは、それでも本当に優しい味をしていることを、俺は小さなころから知っている。確かに美味しいといえるほどのものではなかったけれど、手作りのそれには、きっと他の誰も真似出来ない特別ななにかがあるに違いない。
その正体を、今の俺は知っている。
照れくさくて恥ずかしがり屋なイギリスからは、言葉にしてもらったことはあまりないけれど。昔とはまた違ったかたちの、でも彼の中ではきっと色褪せることのない、この先もずっとずっと続いていくであろう想い。
本当はもうずっと長いことそれだけが欲しくて、その為にさまざまな障壁を乗り越えて今、ここにこうして俺はいるんだ。
小さい頃の俺と今の俺が見ているイギリスは、同じようでいてまったく違う。それはきっと彼の中でも俺が昔の子供ではなくなっている証拠なのだろう。
幼い子供に接して来た時のような、ただ穏やかに笑って守ってやると言っていた彼は確かに俺の憧れだった。それがどんどん形を変え、色を変え、より鮮明に力強く自分の中に刻み込まれるにつれ、俺はゴールを目指して……いや、スタート地点を目指して進んで来たのだ。
だって、俺にとっては彼のすべてが愛しくて、どんな表情のイギリスも、ぜんぶぜんぶ欲しかったから。
喜んでいても、怒っていても、哀しんでいても、楽しんでいても。泣いていても、笑っていても、そのどれもが俺にとってはなくてはならないもので、イギリスを構成する感情の全てを俺は欲しかった。
そして、ようやく手に入れた。
幸い俺達には時間はいっぱいあるし、変わりゆく季節の中で時を重ねながら、まだまだ見たことのないイギリスの顔をたくさん見ていこうって思っている。
きっと彼は俺の知らない表情を、他にいくつも持っているに違いない。
それが楽しみでならなかった。
「イギリス、おなかすいたよ!」
声を張り上げれば、数秒の後に「しょ、しょうがねぇな」と言いながら君は、泣き笑いのような顔でやって来るのだ。
そうしたら俺は彼を抱きしめてその頬にキスしながら、「君のスコーンは兵器だよね!」と言って茶化したり、それとも「ごめんね」と謝ったり。たくさんの言葉の中から伝えるよ。
君はその都度、俺の前でくるくると表情を変えればいい。
うん、大丈夫。
俺はいつだって君のこと、全部ひっくるめて愛しているからね!
ちょっとしたことですぐ眉間に皺を寄せてなんだかんだと口煩く言ってくるんだ。
そしてこちらが何か言い返すとすぐに涙目になって、馬鹿を連発して、顔を真っ赤にして部屋を出て行ってしまう。
こっちははるばる大西洋を越えて会いに来てあげていると言うのに、実に不本意極まりない態度を取られるのだ。納得がいかない。
後を追い掛けてなだめすかして機嫌を取って、なんてそんなこと、面倒臭くて誰がするものか。
女相手のご機嫌伺いでもあるまいし冗談じゃない。
そう思って彼のいなくなった居間のソファに腰をおろせば、静まり返った室内には柔らかな甘い香りが漂っている。
イギリスお手製のスコーンやクッキーが、清潔なキッチンのテーブルの上から、早く食べてくれとばかりに自己主張をしているのだ。
ところどころ焦げたそれは、それでも本当に優しい味をしていることを、俺は小さなころから知っている。確かに美味しいといえるほどのものではなかったけれど、手作りのそれには、きっと他の誰も真似出来ない特別ななにかがあるに違いない。
その正体を、今の俺は知っている。
照れくさくて恥ずかしがり屋なイギリスからは、言葉にしてもらったことはあまりないけれど。昔とはまた違ったかたちの、でも彼の中ではきっと色褪せることのない、この先もずっとずっと続いていくであろう想い。
本当はもうずっと長いことそれだけが欲しくて、その為にさまざまな障壁を乗り越えて今、ここにこうして俺はいるんだ。
小さい頃の俺と今の俺が見ているイギリスは、同じようでいてまったく違う。それはきっと彼の中でも俺が昔の子供ではなくなっている証拠なのだろう。
幼い子供に接して来た時のような、ただ穏やかに笑って守ってやると言っていた彼は確かに俺の憧れだった。それがどんどん形を変え、色を変え、より鮮明に力強く自分の中に刻み込まれるにつれ、俺はゴールを目指して……いや、スタート地点を目指して進んで来たのだ。
だって、俺にとっては彼のすべてが愛しくて、どんな表情のイギリスも、ぜんぶぜんぶ欲しかったから。
喜んでいても、怒っていても、哀しんでいても、楽しんでいても。泣いていても、笑っていても、そのどれもが俺にとってはなくてはならないもので、イギリスを構成する感情の全てを俺は欲しかった。
そして、ようやく手に入れた。
幸い俺達には時間はいっぱいあるし、変わりゆく季節の中で時を重ねながら、まだまだ見たことのないイギリスの顔をたくさん見ていこうって思っている。
きっと彼は俺の知らない表情を、他にいくつも持っているに違いない。
それが楽しみでならなかった。
「イギリス、おなかすいたよ!」
声を張り上げれば、数秒の後に「しょ、しょうがねぇな」と言いながら君は、泣き笑いのような顔でやって来るのだ。
そうしたら俺は彼を抱きしめてその頬にキスしながら、「君のスコーンは兵器だよね!」と言って茶化したり、それとも「ごめんね」と謝ったり。たくさんの言葉の中から伝えるよ。
君はその都度、俺の前でくるくると表情を変えればいい。
うん、大丈夫。
俺はいつだって君のこと、全部ひっくるめて愛しているからね!
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