紅茶をどうぞ
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1. この感情はきっと、僕だけの特権 (露)
今日もイギリス君はアメリカ君と言い争っている。
そんな二人を前にフランス君はからかって、日本君はおろおろして、中国君は知らんぷりをしていた。ドイツ君とイタリア君はちょっと離れたところで、あっちはあっちで楽しそうに何か話してる。もう一人……いたような気がするけど忘れちゃった。
で、僕はと言えばテーブルに両肘ついて手の甲に顎を乗せると、そんな彼らを傍観中。
イギリス君が真っ赤になって怒鳴ればアメリカ君はとても楽しそうに笑う。「君は実に馬鹿だな」なんて言っては子供が親の気を引くみたいに、一生懸命イギリス君の目を自分に向けようとしていた。
フランス君と日本君はたぶんそれを知っているんだろう、だからなんだかんだ言っても最終的なところでは止めに入らない。まるでしょうがないなぁとわがままを許すみたいに、穏やかに見守っていたりするんだ。
イギリス君は太い眉をぎゅっと寄せて、それから翡翠色の瞳に涙を浮かべる。ことアメリカ君に対して感情の起伏の激しい彼は、すぐにうるんでしまう眼差しを隠すように俯いた。
伏せたその顔を彩るのはアメリカ君に対しての哀しみだったり憤りだったり、言うに言えなくなった感情の数々だった。それはとても彼を素敵に見せて、僕はそんなイギリス君の横顔を見るのがひそかな楽しみだったりする。
泣く一歩手前の、耐え忍んでいる時の顔がなによりいい。
噛み締めた唇が色をなくしていて、それなのに紅潮した頬は触れればとても温かそうだ。
けっして「綺麗」という言葉が似合う見目ではないけれど、それでもイギリス君のそういう顔はすごくいいと思う。
もしもあの濡れた瞳でまっすぐ上目遣いで見つめられたら、きっと僕は彼をそのまま攫って行ってしまうかもしれないね。
だってそれくらいいいなぁと思ってしまうんだもの。
でも僕はもっといいものを知っているんだ。
「イギリス君」
名前を呼べば彼ははっと顔を上げてこちらを見る。その目には涙の色はなかったけれど、代わりにほんのわずかな警戒の色が感じられた。
それでも周囲の目を憚って彼は肩をそびやかせて胸を張り、不敵な笑みを浮かべて僕に向かって「なんだよ」と返してくる。
そうしたら僕は言うんだ、「君の紅茶が飲みたいな」って。するとイギリス君はまったくもう!ってくらい飽きれた顔をして「しょうがねぇな! お前の為じゃなく俺の為なんだからな!」と文句を言いつつも給水室へと行ってくれるんだよ。ほんともう、こればかりは嬉しいったらないよね。
そして。
背中を向けられその場に残されたのは……親に置いて行かれたかわいそうな子供。
アメリカ君は底冷えのする憎悪をたたえた目で射抜くように僕を睨みつける。
あぁもう、その視線の心地いいことと言ったら!
背筋に震えが走るくらいの快感を感じる。フランス君と日本君が思わず一歩退いてしまうような彼からのプレッシャー。それを真っ向から受け止められるのはたぶん、この地球上では僕だけなんじゃないかな。
それがどんなに楽しいことかなんて、きっと誰も想像出来ないに違いない。
そう。その感情はきっと、僕だけの特権。
僕とアメリカ君とイギリス君と、実にこの世界はバランスよく出来ているよね。
ほんとうに。
そんな二人を前にフランス君はからかって、日本君はおろおろして、中国君は知らんぷりをしていた。ドイツ君とイタリア君はちょっと離れたところで、あっちはあっちで楽しそうに何か話してる。もう一人……いたような気がするけど忘れちゃった。
で、僕はと言えばテーブルに両肘ついて手の甲に顎を乗せると、そんな彼らを傍観中。
イギリス君が真っ赤になって怒鳴ればアメリカ君はとても楽しそうに笑う。「君は実に馬鹿だな」なんて言っては子供が親の気を引くみたいに、一生懸命イギリス君の目を自分に向けようとしていた。
フランス君と日本君はたぶんそれを知っているんだろう、だからなんだかんだ言っても最終的なところでは止めに入らない。まるでしょうがないなぁとわがままを許すみたいに、穏やかに見守っていたりするんだ。
イギリス君は太い眉をぎゅっと寄せて、それから翡翠色の瞳に涙を浮かべる。ことアメリカ君に対して感情の起伏の激しい彼は、すぐにうるんでしまう眼差しを隠すように俯いた。
伏せたその顔を彩るのはアメリカ君に対しての哀しみだったり憤りだったり、言うに言えなくなった感情の数々だった。それはとても彼を素敵に見せて、僕はそんなイギリス君の横顔を見るのがひそかな楽しみだったりする。
泣く一歩手前の、耐え忍んでいる時の顔がなによりいい。
噛み締めた唇が色をなくしていて、それなのに紅潮した頬は触れればとても温かそうだ。
けっして「綺麗」という言葉が似合う見目ではないけれど、それでもイギリス君のそういう顔はすごくいいと思う。
もしもあの濡れた瞳でまっすぐ上目遣いで見つめられたら、きっと僕は彼をそのまま攫って行ってしまうかもしれないね。
だってそれくらいいいなぁと思ってしまうんだもの。
でも僕はもっといいものを知っているんだ。
「イギリス君」
名前を呼べば彼ははっと顔を上げてこちらを見る。その目には涙の色はなかったけれど、代わりにほんのわずかな警戒の色が感じられた。
それでも周囲の目を憚って彼は肩をそびやかせて胸を張り、不敵な笑みを浮かべて僕に向かって「なんだよ」と返してくる。
そうしたら僕は言うんだ、「君の紅茶が飲みたいな」って。するとイギリス君はまったくもう!ってくらい飽きれた顔をして「しょうがねぇな! お前の為じゃなく俺の為なんだからな!」と文句を言いつつも給水室へと行ってくれるんだよ。ほんともう、こればかりは嬉しいったらないよね。
そして。
背中を向けられその場に残されたのは……親に置いて行かれたかわいそうな子供。
アメリカ君は底冷えのする憎悪をたたえた目で射抜くように僕を睨みつける。
あぁもう、その視線の心地いいことと言ったら!
背筋に震えが走るくらいの快感を感じる。フランス君と日本君が思わず一歩退いてしまうような彼からのプレッシャー。それを真っ向から受け止められるのはたぶん、この地球上では僕だけなんじゃないかな。
それがどんなに楽しいことかなんて、きっと誰も想像出来ないに違いない。
そう。その感情はきっと、僕だけの特権。
僕とアメリカ君とイギリス君と、実にこの世界はバランスよく出来ているよね。
ほんとうに。
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