紅茶をどうぞ
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[祭] ふざける (今日の僕等は子供心!) その1
常日頃からイギリスの酒癖が悪いことは知られており、大袈裟でも何でもなく世界的な共通認識としてしごく当然のこととなっていた。
しかしここ最近、その悪評が変わりつつあると噂されており、そう言えば久しくその手の話題を耳にしていないことに気付く。被害者代表のフランスやポーランドに聞いても、どうやらこのところイギリスは酒場で暴れることもなく、落ち着いた雰囲気で酒を楽しんでいるらしい。
あの、イギリスが。あの、酒乱で裸族なイギリスが。大人しく酒を楽しむなどという光景はあまりにも久しく、アメリカが興味を持ったのも別に不思議な話ではなかった。
その日の会議終了後、久々に四人で飲みに行くことになった。
この頃イギリスは懇意にしているロシアと二人きりで飲みに行くことが多いようだが、アメリカが珍しく一緒に行きたいと言えば、それにつられるように日本も小さく手を上げる。急な申し出にもかかわらずイギリスは嬉しそうに笑って、隣に立つロシアを振り仰いだ。
暗に了承を求める眼差しに阿吽の呼吸とばかりに頷き、ロシアは皮肉気な言葉もないまま賛意を示す。
「僕は別に構わないよ」
「そうか。済まないな」
「ううん、君が楽しそうで僕も嬉しいよ」
「ロシア……ありがとな」
二人で気味が悪いほど仲良く笑い合っている姿を見て、アメリカがイラッとした表情を浮かべるがすかさず日本が「まぁまぁ」とフォローに入った。
この二人の間にアメリカを一人で突っ込ませるわけにはいかないと判断した日本の、見事な機転に助けられている国は恐らく少なくないであろう。
それにしても聞きしに勝るラブラブっぷりである。過去の面影が二人ともほぼ皆無と言っていいくらいの今の状況に、アメリカも日本も言葉が出なかった。
互いにあれだけ毛嫌いして敵対して火花を散らしていたイギリスとロシアが、急接近したのはいつからだったろう。もう忘れてしまった。
世界が滅ぶ直前にいたっても、この二カ国が手を取り合うことなどないと言われていた頃が懐かしい。今や目を覆うほどのバカップルぶりである。
そうやって四人で訪れたバー。ボックス席に腰を落ち着けた彼らは銘々好きな酒を注文して杯を合わせた。
ちなみにイギリスとロシアが当然のように隣同士、イギリスの前にアメリカが座り、ロシアの前には日本が座った。この並びからしてその後の展開が予測されると言うものだが、まぁ嫌な予感の通り日米両国はこれ以上ないほどの暑苦しい光景を目撃することになる。
はい、あーんはもちろんのこと、口移しから発展した濃厚なキスシーンは見ている方が恥ずかしくなってしまうくらいの熱烈なものだった。
のちに二人は口を揃えて『あの時のことは思い出したくもないね!/ありません』と言ったという。聞いたフランスも「愚問だったな」と遠い目をしたらしい。
とにかくそんなふうにラブラブな二人だから、イギリスが飲みすぎて暴れることもなければ、ロシアが不用意にコルコル言って周囲を威圧することもなかった。アメリカと日本が受けた精神ダメージは計り知れないが、店側としても他国としてもその点は平穏無事に過ぎてくれるのでありがたいことこの上ない。
ポーランドなどは苦手なロシアとイギリスが両方いっぺんに自分に迷惑をかけずにいてくれるものだから、永遠にこのままでいて欲しいと願っているようだ。
―――― もちろんアメリカは断固反対なわけだが。
「日本! このままだとイギリスがますますおかしくなっちゃうよ!」
泣きながらそう叫んで縋ってくるガタイの良い青年をなんとか押しやりながら、日本は溜息をつきつつ『やれやれマザコンにも困ったものですね』と心の声を駄々漏れさせながら、デレデレなイギリスの顔を思い浮かべてついつい顔をほころばせた。
心中、『泣いている姿も実に可愛かったですけど、新妻風もいいですよね』などと萌えている。むろん青い悩みを抱えるアメリカのことなど置き去りだ。
「にほーん!」
「はいはい、ちょっとどいてくださいね。(メタボな)貴方にしがみつかれると(重すぎて)身動き取れませんから」
「なんとしてもあの二人を別れさせないと!」
「世界平和のためには大変素敵なカップルだと思いますけどね」
呟きながらも、確かに最近イギリスが自分とのお茶会の時間を減らして、ロシアとばかり一緒にいるのが少々面白くない気がしないでもなかった。
以前ははにかんだ様子でバラの花を抱えていそいそと日本の家にやって来たり、こちらが遊びに行けば「嬉しくなんかないんだからな!」とツンデレ全開な反応を見せて萌えさせてくれていたと言うのに、なんとも寂しい限りである。イギリスが幸せそうにしているのは見ていて和むが、たまには彼を独占する時間が欲しいと思うのもまた事実。
アメリカのように二人の仲を妨害する気はないが、あのロシアにばかり美味しい思いをさせるのはちょっと不本意であり、勿体無い気もする。
多少はなんとかしてみたいという気持ちは無きにしも非ずだ。
「そうですねぇ。ではささいな悪戯を仕掛けてみましょうか」
「悪戯?」
くす、と笑って日本はアメリカを押しのけて携帯電話を取り出す。そしてどこぞへと電話をかけ始めた。
その唇に浮ぶ微笑が光の加減かやや冷たく見えて、アメリカはぞくりと背筋に悪寒が走るのを感じた。酷く大人びた横顔がなにやら画策している姿は、まるで老獪な策士を思わせる。
分かってはいたが彼は自分より、ロシアより、イギリスよりも年上なのだと言うことを改めて実感させられた気分だ。
そんな日本は通話を終えたのかパチンと携帯を閉じると、溌剌とした表情でアメリカを見遣る。その黒い目がきらりと光った。
「アメリカさん、面白いものをご覧に入れましょう」
「に、日本?」
「待っていて下さいね、イギリスさん」
楽しそうな口振りになんとも嫌な予感を読み取り、アメリカは引きつりながら「頼むよ日本」とだけしか言えなかった。
その日イギリスとロシアは、ロンドン郊外のマナーハウスにいた。
このところとみにお互いの家を行き来することが多い二人だったが、もういっそそれぞれ執務室を用意した方がいいのではないかというくらい、共にいる時間が増えた気がする。
こんな状況、周辺諸国をはじめアメリカなどからどう思われているのか知ってはいるが、バカップル上等とばかりに改める気など毛頭なかった。
もともとイギリスは何事にも嵌り易い性格だったので、一度接近してしまうと余程のことがない限りは離れる気は起きなかったし、諦めるという言葉を知らないほど執念深いので、こうと決めたら断固譲らない。
むしろ邪魔する奴は敵といった感じだった。
政治でも経済でも軍事でも、誰に迷惑を掛けているわけでもないのだから余計な口を挟むなと言いたい。幸せな恋人の邪魔をするやつは馬に蹴られてなんとやらだ。
「ねぇイギリス君」
ソファに腰掛け淹れたての紅茶を手にロシアが呼びかけてくる。
キッチンのカウンター越しに「なんだ?」と返事をすれば、穏やかな声が続けられた。
「日本君からメールが来て、新作の抹茶と和菓子を振る舞いたいので、来週末に二人でいらっしゃいませんかだって」
イギリスは皿に盛り付けていたスコーンの山を崩さないようにトレーに載せ、リビングへと移動する。
ローテーブルに置いて、そこが指定席とばかりにロシアの隣に腰掛ければ、彼は携帯電話の液晶画面をこちらに向けて来た。
「ほら」
「んー……最近、日本の淹れた緑茶も飲んでないよな」
「行く?」
「お前は大丈夫か?」
「うん。元々こっちに来るつもりだったし」
「そうか。なら行くか」
楽しげに笑みを浮かべてイギリスは大きく頷いた。
このところあまり他国へ出向くこともなくなっていたので、久々の誘いは嬉しく思う。日本のことだからロシアと一緒にいてもアメリカのように口煩く咎めたりしないし、穏やかにお茶の時間を過ごせるのなら嬉しい限りだ。
ロシアも日本のことは気に入っているので嫌な顔をしないし、煩い欧州の面々もいないとなればイギリスにとっては願ったり叶ったりである。それに抹茶と和菓子のセットは大好きなので是非ご馳走になりたい。
「じゃあいいよって返信しておくね」
ロシアが器用に携帯の小さなボタンを操る横で、イギリスは手土産にスコーンを5kgは持っていかないとな!と思う。これは朝から気合を入れて頑張って焼かないとと妙に張り切っていれば、メールを打ち終わったロシアがこちらを向いてにこりと笑う。
「な、なんだよ?」
「うん、イギリス君、楽しそうだなぁって」
「そ、そうか? 日本の家に行くのも久しぶりだからなぁ。スコーンいっぱい持ってってやらなくちゃ」
「バラの花のほうが喜ぶと思うよ?」
先ほど運ばれて来た、目の前で湯気を立てる黒い物体にちらりと視線を投げたロシアがそう言えば、イギリスは自慢の薔薇園をガラス越しに見遣った。
すぐさま脳裏には瑞々しい花々をどうやって花束にしようかと、あれこれ構想を練りはじめる。その顔は底抜けに明るかった。
「楽しみだね」
「あぁ」
大きく頷くイギリスの頬にロシアが軽く唇を落とす。そして二人して甘すぎる空気を撒き散らしながら妖精にすら呆れられている頃。
海を越えた向こうの島国も、『ささいな悪戯』に向けて機嫌よく鼻歌を歌っているのだった。
しかしここ最近、その悪評が変わりつつあると噂されており、そう言えば久しくその手の話題を耳にしていないことに気付く。被害者代表のフランスやポーランドに聞いても、どうやらこのところイギリスは酒場で暴れることもなく、落ち着いた雰囲気で酒を楽しんでいるらしい。
あの、イギリスが。あの、酒乱で裸族なイギリスが。大人しく酒を楽しむなどという光景はあまりにも久しく、アメリカが興味を持ったのも別に不思議な話ではなかった。
その日の会議終了後、久々に四人で飲みに行くことになった。
この頃イギリスは懇意にしているロシアと二人きりで飲みに行くことが多いようだが、アメリカが珍しく一緒に行きたいと言えば、それにつられるように日本も小さく手を上げる。急な申し出にもかかわらずイギリスは嬉しそうに笑って、隣に立つロシアを振り仰いだ。
暗に了承を求める眼差しに阿吽の呼吸とばかりに頷き、ロシアは皮肉気な言葉もないまま賛意を示す。
「僕は別に構わないよ」
「そうか。済まないな」
「ううん、君が楽しそうで僕も嬉しいよ」
「ロシア……ありがとな」
二人で気味が悪いほど仲良く笑い合っている姿を見て、アメリカがイラッとした表情を浮かべるがすかさず日本が「まぁまぁ」とフォローに入った。
この二人の間にアメリカを一人で突っ込ませるわけにはいかないと判断した日本の、見事な機転に助けられている国は恐らく少なくないであろう。
それにしても聞きしに勝るラブラブっぷりである。過去の面影が二人ともほぼ皆無と言っていいくらいの今の状況に、アメリカも日本も言葉が出なかった。
互いにあれだけ毛嫌いして敵対して火花を散らしていたイギリスとロシアが、急接近したのはいつからだったろう。もう忘れてしまった。
世界が滅ぶ直前にいたっても、この二カ国が手を取り合うことなどないと言われていた頃が懐かしい。今や目を覆うほどのバカップルぶりである。
そうやって四人で訪れたバー。ボックス席に腰を落ち着けた彼らは銘々好きな酒を注文して杯を合わせた。
ちなみにイギリスとロシアが当然のように隣同士、イギリスの前にアメリカが座り、ロシアの前には日本が座った。この並びからしてその後の展開が予測されると言うものだが、まぁ嫌な予感の通り日米両国はこれ以上ないほどの暑苦しい光景を目撃することになる。
はい、あーんはもちろんのこと、口移しから発展した濃厚なキスシーンは見ている方が恥ずかしくなってしまうくらいの熱烈なものだった。
のちに二人は口を揃えて『あの時のことは思い出したくもないね!/ありません』と言ったという。聞いたフランスも「愚問だったな」と遠い目をしたらしい。
とにかくそんなふうにラブラブな二人だから、イギリスが飲みすぎて暴れることもなければ、ロシアが不用意にコルコル言って周囲を威圧することもなかった。アメリカと日本が受けた精神ダメージは計り知れないが、店側としても他国としてもその点は平穏無事に過ぎてくれるのでありがたいことこの上ない。
ポーランドなどは苦手なロシアとイギリスが両方いっぺんに自分に迷惑をかけずにいてくれるものだから、永遠にこのままでいて欲しいと願っているようだ。
―――― もちろんアメリカは断固反対なわけだが。
「日本! このままだとイギリスがますますおかしくなっちゃうよ!」
泣きながらそう叫んで縋ってくるガタイの良い青年をなんとか押しやりながら、日本は溜息をつきつつ『やれやれマザコンにも困ったものですね』と心の声を駄々漏れさせながら、デレデレなイギリスの顔を思い浮かべてついつい顔をほころばせた。
心中、『泣いている姿も実に可愛かったですけど、新妻風もいいですよね』などと萌えている。むろん青い悩みを抱えるアメリカのことなど置き去りだ。
「にほーん!」
「はいはい、ちょっとどいてくださいね。(メタボな)貴方にしがみつかれると(重すぎて)身動き取れませんから」
「なんとしてもあの二人を別れさせないと!」
「世界平和のためには大変素敵なカップルだと思いますけどね」
呟きながらも、確かに最近イギリスが自分とのお茶会の時間を減らして、ロシアとばかり一緒にいるのが少々面白くない気がしないでもなかった。
以前ははにかんだ様子でバラの花を抱えていそいそと日本の家にやって来たり、こちらが遊びに行けば「嬉しくなんかないんだからな!」とツンデレ全開な反応を見せて萌えさせてくれていたと言うのに、なんとも寂しい限りである。イギリスが幸せそうにしているのは見ていて和むが、たまには彼を独占する時間が欲しいと思うのもまた事実。
アメリカのように二人の仲を妨害する気はないが、あのロシアにばかり美味しい思いをさせるのはちょっと不本意であり、勿体無い気もする。
多少はなんとかしてみたいという気持ちは無きにしも非ずだ。
「そうですねぇ。ではささいな悪戯を仕掛けてみましょうか」
「悪戯?」
くす、と笑って日本はアメリカを押しのけて携帯電話を取り出す。そしてどこぞへと電話をかけ始めた。
その唇に浮ぶ微笑が光の加減かやや冷たく見えて、アメリカはぞくりと背筋に悪寒が走るのを感じた。酷く大人びた横顔がなにやら画策している姿は、まるで老獪な策士を思わせる。
分かってはいたが彼は自分より、ロシアより、イギリスよりも年上なのだと言うことを改めて実感させられた気分だ。
そんな日本は通話を終えたのかパチンと携帯を閉じると、溌剌とした表情でアメリカを見遣る。その黒い目がきらりと光った。
「アメリカさん、面白いものをご覧に入れましょう」
「に、日本?」
「待っていて下さいね、イギリスさん」
楽しそうな口振りになんとも嫌な予感を読み取り、アメリカは引きつりながら「頼むよ日本」とだけしか言えなかった。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
その日イギリスとロシアは、ロンドン郊外のマナーハウスにいた。
このところとみにお互いの家を行き来することが多い二人だったが、もういっそそれぞれ執務室を用意した方がいいのではないかというくらい、共にいる時間が増えた気がする。
こんな状況、周辺諸国をはじめアメリカなどからどう思われているのか知ってはいるが、バカップル上等とばかりに改める気など毛頭なかった。
もともとイギリスは何事にも嵌り易い性格だったので、一度接近してしまうと余程のことがない限りは離れる気は起きなかったし、諦めるという言葉を知らないほど執念深いので、こうと決めたら断固譲らない。
むしろ邪魔する奴は敵といった感じだった。
政治でも経済でも軍事でも、誰に迷惑を掛けているわけでもないのだから余計な口を挟むなと言いたい。幸せな恋人の邪魔をするやつは馬に蹴られてなんとやらだ。
「ねぇイギリス君」
ソファに腰掛け淹れたての紅茶を手にロシアが呼びかけてくる。
キッチンのカウンター越しに「なんだ?」と返事をすれば、穏やかな声が続けられた。
「日本君からメールが来て、新作の抹茶と和菓子を振る舞いたいので、来週末に二人でいらっしゃいませんかだって」
イギリスは皿に盛り付けていたスコーンの山を崩さないようにトレーに載せ、リビングへと移動する。
ローテーブルに置いて、そこが指定席とばかりにロシアの隣に腰掛ければ、彼は携帯電話の液晶画面をこちらに向けて来た。
「ほら」
「んー……最近、日本の淹れた緑茶も飲んでないよな」
「行く?」
「お前は大丈夫か?」
「うん。元々こっちに来るつもりだったし」
「そうか。なら行くか」
楽しげに笑みを浮かべてイギリスは大きく頷いた。
このところあまり他国へ出向くこともなくなっていたので、久々の誘いは嬉しく思う。日本のことだからロシアと一緒にいてもアメリカのように口煩く咎めたりしないし、穏やかにお茶の時間を過ごせるのなら嬉しい限りだ。
ロシアも日本のことは気に入っているので嫌な顔をしないし、煩い欧州の面々もいないとなればイギリスにとっては願ったり叶ったりである。それに抹茶と和菓子のセットは大好きなので是非ご馳走になりたい。
「じゃあいいよって返信しておくね」
ロシアが器用に携帯の小さなボタンを操る横で、イギリスは手土産にスコーンを5kgは持っていかないとな!と思う。これは朝から気合を入れて頑張って焼かないとと妙に張り切っていれば、メールを打ち終わったロシアがこちらを向いてにこりと笑う。
「な、なんだよ?」
「うん、イギリス君、楽しそうだなぁって」
「そ、そうか? 日本の家に行くのも久しぶりだからなぁ。スコーンいっぱい持ってってやらなくちゃ」
「バラの花のほうが喜ぶと思うよ?」
先ほど運ばれて来た、目の前で湯気を立てる黒い物体にちらりと視線を投げたロシアがそう言えば、イギリスは自慢の薔薇園をガラス越しに見遣った。
すぐさま脳裏には瑞々しい花々をどうやって花束にしようかと、あれこれ構想を練りはじめる。その顔は底抜けに明るかった。
「楽しみだね」
「あぁ」
大きく頷くイギリスの頬にロシアが軽く唇を落とす。そして二人して甘すぎる空気を撒き散らしながら妖精にすら呆れられている頃。
海を越えた向こうの島国も、『ささいな悪戯』に向けて機嫌よく鼻歌を歌っているのだった。
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